村瀬志綱/樫本達真 慶応義塾大学 (2017ジュニアワールド)
SAILNo. JPN4340
スキッパー:村瀬志綱 慶応義塾大学
クルー :樫本達真 慶応義塾大学
私たちは蒲郡で行われた全日本学生個人戦、江の島の全日本470でコテンパンにされたあと、傷心状態でレースに臨みました。今回のジュニアワールドは日本開催ということで普段学連のレースにしか参加できない私たち慶応義塾大学の4艇にも参加枠が巡ってきました。当たり前ですが周りは世界の精鋭ばかりなので少しでも多く技術を盗めたらと意気込みました。葉山にある合宿所はスナイプチームが占領(?)しているため日帰りでのレースになっています。開会式では日本選手団として入場しましたが、あまり日本の代表であるという実感がわきませんでした。和太鼓の演技は外国人選手に受けていて異文化交流は素晴らしいなと感じました。
初日は軽風から順風域の中2レース行われました。海外選手はD旗が上がってから艤装し始めていたりして、学生のレースとはまた違った雰囲気でした。私たちはスタートに失敗し苦しいレースとなりました。しかし、普段感じられないハイレベルなフリートレースを体感することができました。特にオスカーフラッグが上がってからの海外選手の動作がとてもアグレッシブで世界基準を体感させられました。
ウェルカムパーティではレッドブルガールが来ており猛暑レース後のキンキンに冷えたレッドブルは最高でした。またおいしい料理も並べられており豪華なパーティでした。江の島音頭を踊り、楽しく選手同士での交流を深めました。
二日目は強風下での3レースでした。江の島は波が立ちやすくハードなコンディションになりました。吹いてくると、上位陣とのレベル差が大きくなるなと感じました。リザルトを見ても各国の代表と日本人2艇がトップテンにおり、それ以下の選手はほぼ日本人でした。
三日目は南風の順風域で初日と似たようなコンディションでした。しかし上マークを上位で回っても順位を落としていってしまう場面が多くありました。レース続きで身体的にも限界が近づいていました。着艇あとのミーティングではみんな憔悴しきっていました。
四日目からは台風との戦いでした。江の島は朝から終日赤旗で学生は練習すらしたことがない風域、コンディション下でのレースでした。未知なるレースでしたが完走することを目指して何とかフィニッシュすることができました。レースが思ったより早く終わったので同じ大学のメンバーと一緒に稲村ケ崎の温泉に行き、疲れを癒しました。
五日目も引き続き前線と台風の影響で北東からの強風が吹き荒れていました。強風下では周りを走っている船はほとんど同じですが、サバイバルなのでまず沈をしないことを最優先に走りに集中していくことがとても重要になりました。赤旗の江の島です。
最終日、メダルレースとラストレースが行われました。江の島は引き続き北からの強風が吹いていました。ラストレースは私たちのスタートがうまくいき上マークをシングル後半で回ることができました。しかしリーチングレグで少し油断があって沈してしまいました。結局そのレースはフリートの後半でフィニッシュすることになりました。
今年のジュニアワールドは奇跡的に参加できたようなものでした。全日本470にも海外の有名選手が出ていたりして本当に普段の学生同士のレースからは感じられない刺激を受けることができました。特に直前に開催された全日本470選手権で早稲田大学の岡田選手が優勝し、ジュニアワールドでは日本大学の高山選手が銅メダル獲得というインカレでもライバルになる二人が活躍して日本人として誇らしい感情もあり、またインカレで脅威になることも感じました(笑)。それに加えジュニアワールドでは海外の同世代のオリンピックを目指している選手たちが集まる大会なのでそれに伴ってレベルが高く、当たり前ですがレースをしていてもスピードの差が顕著で苦しいばかりでした。レース続きだったのもあって体力不足も感じ、そこから集中が途切れた瞬間に生まれた小さいミス、1艇身前に出せなかったことの積み重ねが命取りになることを実感しました。また、動作やパンピングなどどんどん船を前に出していく海外選手の技術には驚きました。印象的だったのが後半の連日強風コンディションだった時、海外選手は疲れも見せず笑顔でレースを楽しんでいたことです。もちろん背景には厳しい練習もあったと思いますが、私たちには技術が足りなくて乗りこなせない厳しいコンディションで余裕の表情でセーリングする選手には驚きました。今大会、成績はともかく、普段賛歌すらできない世界基準の大会に参加できたことが思い出になりましたし、私たちの最終目標である全日本インカレまであと2か月と迫ってきたので、これを糧に目標を達成するために何が足りないのか考えて練習していく必要があると感じました。最後に、関東470協会の皆様には日ごろからお世話になり誠にありがとうございます。今回費用がかかる2つのビッグレースに参加できたのも学生向けの支援金の存在があったからです。重ねて感謝申し上げます。これからもよろしくお願いいたします。