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勝木 海斗&斎藤 伸行組(唐津2022全日本レポート)

荒れた江ノ島で1レースのみ行われた関東470選手権でなんとか26位につけ、全日本470の関東枠にギリギリですべりこんだ我々は、大会計測前日の8月15日の朝イチで成田から福岡まで飛び立ちました。その日は福岡観光をして、姪浜駅から徒歩30分くらいのところにあるネカフェで一晩過ごしました。6時間ナイトパックで1300円くらい。

 翌日は朝早く唐津ヨットハーバーに向かいます。道を曲がって海が見えると、唐津470ののぼりがずらりと並んでいて、ここで大会が開催されるんだと改めて感じました。


我々の計測は14時半からになったので、無事に船を降ろし終えてからマストを立て、唐津の海に出艇しました。南東の陸風で波はほとんどなく、湖のような海面だということがわかったところで着艇して計測を受けました。なんだかんだで疲れたし雨もざあざあだったので、タクシーでホテルまで行きました。翌日のレース初日は朝から土砂降りでした。げんなりしながら、ホテルの近くのジョイフルで朝ごはん、豚汁定食生卵付き504円(安い!)を食べ、テンションを上げてハーバーに向かいました。


大会のほうは前日からつづく計測を午前中で終わらせて午後からレースを始める予定でしたが、土砂降りの中、雷も定期的に落ちてきてAP旗が上がりました。選手たちは「今日は無理だろ...」と思いながら雨宿りをしていると、雷が止んだということで(止んでない‼)AP旗が降りて一斉にセールを上げはじめました。風はそこそこの中レース海面に向かっていると、急に吹いてきてオーバーパワーのコンディションになりました。慌ててピンを落とし、第一レースに臨みました。我々にとっては初関東圏以外の海&初日本海&360°大体一、二キロ先に標高100m以上の山があるという、トリプル初セーリングの状況の中、0.5ピンダウンした中でのレースが始まります。ウェイティングラインはかなり低めでオールクリアの中スタートしましたが、我々は第四線からのスタートでかなり右振れの状況だったためスタートラインを通過し即タック、スタートに失敗した艇はほとんど即タックした印象でした。最初の風の印象はすごい振れるなー、レース前に振れタックを打ちまくろう!と意識していましたがスタートしてからは他艇の事やセーリングに集中するあまりデジコンをほとんど見れずに第一レグ中盤まで行ってしまいそこからはできるだけ艇団から離れずに振れタックを意識し、一艇ずつ抜いてを意識しました。一上を回った時点で順位は25位、スタート時点では28位だったので3艇も抜いています!しかし我々を境に後ろの艇は艇団とは差が縮まらなく完全に置き去りにされています。

 このあたりから段々と風が上がっていきました。一下のゲートマークの右を選択した我々はしばらく左に伸ばす中、我々より前の艇団はほどんど右側に伸ばしていました。しかし遅れを取り戻すためには逆張りするしかなかったため左に伸ばし二上に着くころには20位にはつけていました。

 ここからはリーチングレグで上れる艇と上れない艇の差が現れ始めます。下位艇は上れない艇が多くスピンをシバーしながら上っていきます。我々も例の如く上っていきます。ここで一艇抜き去りました、しかし風がどんどんと上がっていく中で、技術のないチームにはほとんど一直線に最終マークが見えたのは幸運でした。ここでより一層風が上がり沈艇が続出し沈艇を避けながら最終マークに向かっていきます。しかしジャイブなしでマークを通過することはできません。ジャイビングアングルに到達しジャイブをしましたが、角度が足りずとんでもないパワーを受けているブームが返せず焦って一気に角度変えたところで切りあがり沈、すぐさま起こすためセンターボードに乗りますが強風の中スピンまで上がっている為、完沈から半沈までもっていくのも一苦労です。何分格闘したのか覚えていませんがあの時は本当にがむしゃらに数字をつけたいとしか思っていなかったのでフィニッシュすることしか考えていませんでした。(記憶だと沈々々々しました)そしてやっとの思いで起こしましたがフィニッシュラインは片付けられていて愕然としました。しかし、念のため明日以降この失敗を引きずらない為にもフィニッシュ艇の近くをアビームで帆走。(実はなぜかこのレースで数字がついていて運営のミスなのか、ルール上あの状態でもフィニッシュになったのかは謎です)

 次のレースに備える為に上ろうとしますが人生初めてというくらいジブシートが重い!!トラピーズしながら体全体で引きますがそれでも無風の時のジブ分くらいしか引けません。たまらずピンダウンへ、即決で2ピンダウンを決めますがピンを抜いて差しなおそうとしてもサイドステイが下まで降りてこない!!スキッパーがトラピーズワイヤーを持っても全然降りてこない!そうしているうちにブローが入ってきてピンが抜けたまま沈、、、初めての経験でした。とりあえずピンをテキトーな所に差し直して起こします。いろいろと頭に嫌な予感が巡りますがとりあえず、1.5ピンに妥協します。そしてこれ以上はコースを完走できそうにないのと明日以降にもたくさんレースが控えているのでリタイアを決意します。しかし帰ろうと思ってもハーバーは風上に位置するため帰るためにはハードセーリングをしなくてはいけません。全然上れない、、、ハーバーが遠く感じます。帰りながらふとした時に周りを見回していると第二レースに参加した艇やリタイヤして帰ろうとしている艇が色々なところで沈しています。しかしさすが全日本の運営、しっかりと沈艇のケアをしています。しかし我々は何処かのRCボートに近づこうとしてもどこにも安全に近づけそうなボートがいません。スキッパーはリタイアを伝えに行こうと言いますが、私はここに留まってボートに近づくことの方が危険と判断しハーバーバックすることを打診します。何度か近づこうと試みますが、そもそも沈艇は風下あたりに集中していて風上に上る技術が不足している為なかなかRCボートに近づけません。近づいてリタイヤの意思を伝える為にしゃべろうとしてもシバーさせるとセールの音がうるさく聞こえませんし、そこにいる用事がなくなれば他の沈艇のケアに行ってしまうために追いつくことができません。関東470選手権の時はさんざ近くのRCボートにリタイヤの通告をしてくださいと連絡がありましたが、いざ自分が沈艇の立場になると難しいことに気付きます。もう、ハーバーバックしようとスキッパーに伝えると同意し帰路につきます。一応レース海面に向かう際に離島への定期便の交通を阻害しない用にといたボートの存在を覚えていたので最悪その艇に意思を伝えようと思っていました。メインを出しながら最大長のフルトラピーズで帰っていましたが暫くすると例の信号艇がいたのでできるだけ近づいた状態でハンドジェスチャーでリタイヤの意思を伝えました。伝わっていなかったように思いましたが、もう着艇してオンラインでリタイア申告した方が早いと思いハーバーに向かいました。(こういう時にリタイアのハンドジェスチャーなんかあると良いなと思いました)ハーバーに近づく程に風が弱くなり開放的な場所にあるハーバーだと思っていましたが、山々の影響で風が弱くなるんだと気付きました。

 着艇し、船台に艇を上げてどっと疲れがやってきましたが、とりあえず申告です。一通り必須の作業が終わったので艇のことをやっているとレース海面から続々と艇が帰ってきました。今回のレースをシングルで回った艇はすぐに帰ってきていました。サポートボートは着艇を確認したらすぐさまレース海面にとんぼ返りしていました。その後に曳航の艇団が帰ってくると問題を抱えていそうでしたが二艇、マストが見えない艇は目を引きました。各チーム艇の問題を解決するためにレースが終わった後もせわしなくしています。先ほど目撃したデスマスト艇は奥の艇庫でエンジニアの方々と一緒に修復作業についていました。ハルの修復も信じられないくらいのスピードで進んでいきます。加えてガスケットの張替えをしている艇が何艇もいました。それを見て今度の全日本に出る時は替えのガスケットを持ってこようと決意しました。一方我々はカロリーメイトを食べながら解装していると、だんだんと嫌な記憶を思い出してきました。ピン詰め中の沈...グースネックのところからぐにゃり...案の定マストは曲がっていました。


曲げなおそうかと一瞬思いましたが経験がなく、それで折れたら元も子もないのでそのままでることに。とりあえずサイドステイのテンション、スプレッダー先端とバウ先の距離がそれぞれ大体等しくなるくらいまで調整して明日を迎えることにしました。なんやかんやで夜の19時を回ったあたりでハーバーを出て、歩いて吉野家に向かいました。夜ご飯は牛焼肉定食(ごはんおかわり無料!)で精神を安定させ、ホテルでゆっくり寝ました。




レース2日目、空は一転してからっと晴れ、唐津城を見ながら朝ごはんのジョイフルの豚汁定食生卵付き504円を食べてハーバーに。艤装を終えてみんな一斉に出艇して曳航でレース海面に向かいましたが、途中でAP/Hが上がってそのままUターンでハーバーバックしました。1時間くらいするとそよそよ風が入ってきたということで出艇準備です。この時準備が皆済んでいて暇になったからか吉田/木村ペアと記念撮影する学生がいたので自分も他の学生にけしかけて記念撮影させていましたが自分たちは学生のノリにの勝手最後に記念撮影するつもりでしたがD旗掲揚の1分前になってしまいあえなく断念、、、気を取り直して出艇!!二日目は落ち着いた風の中オスカーが上がったり下がったりの風域でした。レース海面に到着すると全艇レースコースになると思われる海域を走り風を確認します。この時北西の風が入っていて高島の影響で風が曲がるような形になっていたのでそれに気づいたチームは上位に行けたのではと思います。自分たちは気付いても全然上位に食い込めませんでした!!一通り風を確認し終えたら二日目第一レースです。スタートは昨日とは違い走りやすい風だからか良いラインを形成していました。しかし逆に言えば昨日いつもの走りができなかったチームが本領発揮できる状況のため全く前に出れず、抑えられてしまい、一日中自分の思い通りの走りができず全レース最下位近くとなってしまいました。レースが終わりハーバーバックの帰路の中「やっぱり自分たちにとって昨日はラッキーな日だったんだなぁ、うまい人はうまいわ」と二人でうんうんと頷き合っていました。そして、現役のころ関東インカレで470のレースに参加しているはずなのにスナイプに追いつかれていたあの日を二人で思い出してもいました。。。

 着艇後、いつもよりレーキが少し低い感じがしたのでチューニングの見直しをしてから、吉野家まで歩き、夜ご飯、麦とろ御前を食べてホテルに戻りました。ホテル内には大浴場があり、虹色に光るバスタブに入って今日の疲れを癒しました。


 レース三日目、今日からゴールド・シルバーフリートに分かれて決勝シリーズが始まります。我々は予選シリーズ60位だったためシルバーフリートで戦います。予定通り9時40分にD旗が上がり、レース海面まで帆走で向かいました。昨日のレースでクローズの走りでは勝負にならないことがわかっていたのでスタートとコースで戦うことに決めました。

出艇して海面調査をすると、自分の体感では唐津の海面は南風が吹くときは右に寄ると高島の影響で高島に近づけば近づくほど風がリフトし、逆の海面では佐賀県ヨットハーバーと唐津城の間あたりから出てくるブローを受けることができて左右違った風があることがわかりました。3日目の基本戦略は風が弱ければ左、平均的に強い風が吹けば右の選択で行くことを決めました。

 その走りが功を奏したのか三日目は三レースともに13位以上の結果を残せました。レース中は基本的には全体の中でどこに位置しているかを意識していました。そうすると近くの艇を抜くというよりもこのレースでフィニッシュする時に何位かを意識できて冷静にレースを走ることができました。レース中はO旗が上がったり下がったりともちろんいつもそうですが、より一層気が抜けない状況!!ジュリーが目を光らせています!!

 着艇後、今日の走りがマシであったこととコースが冴えていたということで特に調整することもなく、解装してすぐ帰りました。


 四日目、日課となったジョイフルで豚汁定食生卵付きを食べてハーバーに向かいました。今日は逆さ唐津城を見られました。




正直言ってへとへとです。全身筋肉痛の体に鞭を打って海面に向かいます。四日目は三日目と似たような風で左右どちらに伸ばすかで順位にかなり響いた様子でした。我々も昨日の経験からコース引きを考えながら全体に対して自艇の位置を意識しました。一レース目はかなり予想が外れてしまい22位となりましたが、二レース目は6位となり順調に一つずつ順位を上げていきました。しかし最終レースの最終レグで事件は起きました。リーチングに上る際にオーバーヒール沈をしてしまったのです。正直そんなに強い風が吹いていたわけではないのですが、油断が災いしたのでしょう。すぐに起こそうとしますがクルーの斎藤がスピンシートに絡まっているのに気付かずに起こしてしまい、艇を掴み損ねた斎藤を置き去りにしてしまいました。海水を飲みながらも全力で泳ぐクルー。しかし、艇は風位にたっていないため進んでしまいます。自分は急いでスピンをしまいクルーを助けに向かいます。疲れ切った斎藤を乗せると「俺のことは良いからフィニッシュしろ!!」我に帰りアビームでフィニッシュ。最悪の結果で全日本を締めくくることになってしました。(クルーの斎藤:どうも全日本の最終レースの最終レグで水泳をした斎藤です。多分後にも先にも全日本で水泳をしたのは私だけではないでしょうか。次回の閖上ハーバーの全日本では水泳してもフィニッシュできるように練習メニューに遠泳を追加しようと思います。)

 最終レグの痛恨の沈を悔やみつつ、解装をして帰ります。最後のレースが今日で終わり明日のメダルレースを残すのみとなったので、盛大に夜ご飯を食べようとホテル近くのジョイフルに行きました。そしてホテルでの最後の一泊をゆっくり過ごしました。


 5日目、決勝シリーズを終えて上位10チームによるメダルレースが行われます。ハーバーから200メートルないんじゃないかと思うくらいの近い距離に本船が配置され、地元クラブの子供たちや参加選手達がレースを見守りました。私はレース海面から最も近い堤防に座りながら地元クラブの子供たちの多分監督さんの話に聞き耳を立てながらメダルレース参加艇の綺麗な走りとレース展開に興奮していました。

 メダルレースを終えて閉会式が終わると、お待ちかねのピアソン470新艇&協賛品をめぐる大じゃんけん大会です。前にいるお姉さんに勝ったら景品ゲットなんですが...このお姉さんめちゃくちゃ強かったです。なに出しても負けて結局2人で挑んでげっとできたのはザイクのステッカーだけでした。いや、もらえるだけありがたい!

協賛品をめぐるじゃんけんの後は学生限定のピアソン470新艇のじゃんけん大会です。我々は社会人なので傍から見ていましたが、学生のみなさんの真剣な表情、これは異常な熱気です。隣にいた千葉大学の子を応援していましたが一回目で負けて戻ってきちゃいました。結局新艇を手に入れたのは関西学院大学になりました。おめでとう!

 じゃんけん大会の後、一息ついたら船を積み込みます。トラックの運転手さんと参加選手でスムーズに積み込みが完了し、我々は唐津を後にします。またここでヨットに乗りたいと思えるいいハーバーでした!

 唐津全日本470選手権を終えて、まずは多分参加選手全員がこのレースに出れてよかったと思うんじゃないかと思えるくらい素晴らしいレース運営に心から感謝しています。いやー、めちゃくちゃいい経験が出来ました!途中トラブルもありましたが、それもなんだかんだで勉強になったし、普段の練習では絶対に気づけない課題が山のように見えてきました。また、改めてサポートしてくれた周りの皆様に感謝です。この経験を活かして、次こそはいい成績残すために練習に励みたいと思います。


 イカ食べました!歯ごたえが普段食べているのと違ってすごくおいしかったです!





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